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むち打ち症(外傷性頸部症候群)

むち打ち症(外傷性頚部症候群)とは、交通事故などにおける頚椎の損傷機序をいうものであるが、頚椎の急激な過伸展、過屈曲により頚部がS字状の軌跡を画くことにより頚部の損傷を起こす障害であり、頚椎のほか、筋・靭帯・神経・血管などさまざまな損傷が考えらます。臨床的には頚椎捻挫型、頚部交感神経症候群、神経根型、脊髄型に分類します。

 

【原因】

自動車事故、特に追突による場合が最も多く、ほかに労働災害、スポーツ障害や、整体などの不適切な施術による例も見られます。 

image1.jpgむちうち損傷
頚椎は過伸展、過屈曲してS字状軌跡を画く。
(森崎直木:整形外科学・外傷学、金原出版、1982) 

 

【分類】

1)頚椎捻挫型

むち打ち損傷の中で約80%を占め、胸鎖乳突筋・前斜角筋・僧帽筋・菱形筋・大胸筋などの損傷や椎間関節の捻挫による疼痛・圧痛・運動時痛がみられます。知覚異常や頭重感・頭痛・項部痛・上肢疲労脱力感などの不定愁訴を主体としますが、二次的に発症した前斜角筋症候群の症状として前腕と手のC、C領域に知覚異常が見られることがあります。数か月に亘り愁訴が持続することもあります。

 

2)頚部交感神経症候群〔バレー・リュー(Barre-Lieou)型〕

頚椎損傷に際し、頚部交感神経および椎骨動脈が障害されたために起こる。他覚所見に乏しく、後頭部・項部痛、めまい、耳鳴り、視力障害、顔面・上肢・咽喉頭部の知覚異常、夜間上肢のしびれなどの不定愁訴を主体とします。

交通事故では、レントゲンやMRIなどの画像検査で原因を証明することが困難であるという事もあり、辛い症状が続くにもかかわらず、満足な等級認定がされないなど後遺障害等級認定で問題になる事もあります。

 

3)神経根型

椎間孔内外における神経根の圧迫により頭部から上肢まで神経症状が出現することがあり、咳、くしゃみ、頚椎の過伸展・側屈回旋により症状の増悪を見ます。他覚的には分節性知覚異常、深部反射の減弱、筋力低下のほかスパーリング(Spurling)テスト、ジャクソン(Jackson)テストなどが陽性となります。

 

4)脊髄型

頚椎の脱臼骨折を合併した場合や頚椎症・後縦靭帯骨化症(OPLL)を伴う場合には、脊髄症状を呈することがあります。症状は下肢よりも上肢に著名で、上位頚髄が損傷された場合には横隔神経が障害を受け呼吸麻痺を起こすこともあります。

 

【治療法】

頚椎捻挫型の場合は保存的療法を原則とします。初期には安静とし、頚椎カラー固定などを行い、損傷の程度により炎症や軟部組織の修復に伴い固定を外します。急性期で炎症が強い場合には冷却を行い、症状の軽減に伴い温熱療法や低周波・干渉波、SSP電気鍼療法、また手技療法などを行います。牽引療法が有効な場合もあります。最近では、低出力レーザーや近赤外線による光線療法、超音波治療器や微弱電流(生体電流)治療器など痛みに対して有効な治療法も多く、理学療法の選択肢も広がっています。

 

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